「浅井紅緒ちゃん」
動揺する私を赤い目をした男が呼んだ。
「紅斗……」
赤い目をした男──、紅斗は薄笑いを浮かべながら私を見ている。
「さぁ、選んで?仲間を見殺しにするか、僕の元に来るか……どちらかを」
何でそんなことを私に問うの?
その問いかけは紅斗が私を求めているときに言う言葉だ。
でも、紅斗が私を欲する理由が分からない。
「……おや、その様子だと何も知らないんだね。おかしいなー、彼は気付いている気がしたんだけど……」
紅斗は何も答えずに動揺したままの私を見て、不思議そうに頭を傾げた。
彼って誰?
知らない……、私は何も知らない……。
「まぁ、良いや。あ、そうだ。目の前で仲間が殺されたら思い出すかな……」
紅斗はニヤリと笑うと、楊蘭をチラリと見た。



