「貴様、切碕の仲間の生き残りだな?……今は違う奴に仕えているのか?」
小鳥遊さんが身構え、睨み付ける先には楊蘭の他に一人の男がいた。
赤い目をした男だった。
「その赤い目……まさか──っ!?」
小鳥遊さんの驚きの声が途切れ、彼女はその場に膝をつき苦しそうに喉を押さえた。
「小鳥遊さん!?」
「彼は我々の希望なのですよ。貴女の叔父上が殺した我々の神を再びこの世に産み出すための……」
抑揚のない声が後ろから聞こえ、振り返るとそこには獣の耳をした男がいた。
「安倍……明……晴か……ッは!」
小鳥遊さんは苦しそうに息をしながら、獣の耳をした男を睨み付けている。
彼女が押さえている首は何ともない。
それなのに、小鳥遊さんは苦しそうだ。
一体、何が──。



