疑問に思ったのは私だけだったのか、会場はざわつきもしない。





いや、違う。




ざわつけないんだ。




ステージの上に立つあまりにも凛としていて、あまりにも整い過ぎた彼の姿に。





「特別国家維持部隊翔鷹の隊長、寿永凌です。この度は入職おめでとうございます」





彼の声は姿同様凛としている。




寿永凌(ヒサナガ シノグ)……?




寿永って三名家の?





それに、隊長って言っても私と歳があまり変わらないように見えるんだけど……。





そう思いながら、翔鷹隊長の言葉に耳を傾ける。





今回の新入職者の警官の中で即≪翔鷹≫に決まったのは一人だけ。






警察学校の成績がどんなに優秀でも入職直後に翔鷹に配属されることは数少ない。





エリートの中の更なるエリート、それが彼の率いる≪翔鷹≫だ。