うわ……、痛そう……。
かなり鈍い音がしたから相当痛いと思う。
「いったいんだけど、凌!」
「暴力反対!」
「うるさい、黙れ。馬鹿共が」
頭を押さえて痛がる二人に、彼は鼻を赤くしながら辛辣な言葉をぶつけた。
「大体、来る前には連絡を入れろといつも言ってるだろう」
「えー。言ったら凌君、居留守使うか何かしらの言い訳考えて拒否するでしょ?」
藤邦さんの言葉に、彼は「当然だ」と頷いた。
「でも、今回は逃げられたら困るんだよね。これ、預かってきたし」
「……とりあえず、中に入れ。茶くらいは出す」
ポケットから取り出した封筒をちらつかせる藤邦さんに彼は呆れたようにため息を吐いて、二人を執務室に招き入れた。



