うわ……、痛そう……。
自分がぶつかったら……と想像してしまい、私は痛くもない鼻を押さえた。
「し、凌様!」
「あっははは、顔面直撃!」
顔面の痛みにしゃがみこんだ寿永隊長に、心配そうに駆け寄る小鳥遊さんと人の不幸を喜んで笑う小鳥遊君。
「あ、ごめん。いると思わなかった」
「あららー、痛そうだね」
ドアの向こうから現れたのは彼と同じくらいの歳の女の子二人で、彼並に整った容姿をしている。
そんな二人を寿永隊長は顔を押さえながら恨めしそうに睨み付けた。
「詩依(シヨリ)……志摩(シマ)……ッ!」
「あららー、怒ったー!」
「短気は損気よ、凌」
青筋を浮かべて殺気を放つ彼に対し、二人は悪びれもなく飄々としている。



