「確か、この辺に……」
寿永隊長の部屋を出た私は自室には戻らず、翔鷹内にある書庫にいた。
「あ、これだ」
探していた資料を見つけ、私は持ち出し許可書に名前を書いて自室に戻る。
資料をテーブルに置いて、とりあえず服だけ着替えた。
「……さて、と……」
ソファーに座り、テーブルに置いた資料を手に取る。
その資料の表紙には≪切碕事件≫とだけ書かれていて、タイトルがシンプルなわりに資料は分厚かった。
寿永隊長は事件を追っていれば知りたくなくても自然と分かると言っていた。
でも、私は知りたいと思ったら今すぐにでも知りたい性分だ。
教えてくれないなら自分で調べるまでだ。



