心から笑う事なんて、リストラされて以来なかった気がする。


「なぁ……今日も面接もダメだった」


ふと、静かになって幸太郎はそう言った。


「でも、まだ決まってないんでしょ?」


「そうだけど、もう感覚でなんとなくわかるんだよ」


そう言うと、妻は木製の筆箱を見つめたまま黙り込んでしまった。