最近、彼が来ないのだ。


毎日のように来ていたのに、フリーマーケットの開催が近づくにつれて足が遠のいているようだった。


「きっと、毎日忙しいんだよ」


タエは自分に言い聞かせるようにそう呟いて、鍵を閉めたのだった。


「タエちゃん今日もご苦労さん。これ、持って帰ってね」


厨房から出て来た堤さんがそう言い、タエにタッパーを手渡した。