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叶多の家に戻ったのは夜の8時頃。
玄関から一直線の廊下とリビングを繋ぐドアを開けたら、目の前に叶多が立っていた。
「ビックリした…」
今朝送ったメールに返信がなかったから、まだ怒ってるんだろうな、と思い、脇をすり抜けようとした私。
「何でアイツと歩いてたんだよ」
叶多の低い声に、私の動きが止まった。
端からみれば滑稽な格好だろうな。
晴輝と歩いてたの見られてた……?
「何のこと?」
また叶多を欺かなきゃいけないのかな…。
まだ、晴輝の頼みに返事はしてない。
全然どうしたいかもわからないから。
今日1日、涼しいカフェで考え込んでいた。
それでも結論はでなかった。



