幹部室の中には、幹部全員が揃っていた。


「……知ってると思うけど、私裏切り者だから」


無言の空気が嫌だったから、そう切り出してみた。


「裏切り者じゃねぇよ、結柚は」


間髪入れず叶多が言った。


「裏切り者じゃん。勇から聞いてるんでしょ?私が麗桜の姫だってこと」


「裏切り者かどうかはこっちが決めることだ。俺たちが違うって言えば違う。結柚は蒼竜の姫だ」


一哉…。


「…何で怒らないの?スパイしに来てたんだよ?情報流してたんだよ??」


素直に受け入れることができなくてごめん。


心のどこかで疑ってる。


口ではそう言ってくれてても、内面は違うんじゃないかなって。


「俺らがそんなことで潰れるわけねーし!気に留めるよーなことでもないしな!」


……本気で言ってる。


彼らは本気で言ってくれてる。