「─ず!結柚!」
「え?」
私を呼ぶ声と同時に、目の前でヒラヒラと手を振られてハッとする。
「放課後なったぞ。帰んぞ」
いつの間に…?
昼休み以降の記憶がない。
「大丈夫か?脱け殻みたいになってたけど」
叶多が私の顔を覗き込んでくる。
「大丈夫だよ。私用事あるから先行くね。じゃあね」
向かう先は公衆電話だ。
ケリ着ける。
真相を確かめる。
おそらく99.9%浮気だろうけどね。
スマホから電話かける方が楽なんだけど、勇にハッキングされたら困るから、やっぱり公衆電話に行かざるを得ない。
あの閉鎖された空間は緊張するから嫌いだ。
それでも、やっぱり公衆電話にたどり着く私。
逃げようと思ったら簡単に逃げれるはずなのにね。



