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翌朝。
「はぁ……」
寝たら忘れるかなって期待したけど、時間と気の重さは比例関係にあるみたいだ。
浮気されていたという現実が重く私の心にのしかかってくる。
〝現場〟の後継が脳裏に焼き付いて離れない。
昨日の夜は叶多のおかげで泣くほど笑えたけど、やっぱりまだまだ立ち直れないか…。
「おはよ、結柚。ど?寝れたか?」
ノックもせず入ってくる叶多。
デリカシーのないやつだ。
「別に私不眠症じゃないし。寝れるに決まってるでしょ」
失恋したなんて思われたくないし、まず、落ち込んでるって思われたくない。
あからさまに〝落ち込んでます〟って態度を取る人もいるけど、そんなの絶対したくない。
そんなの、影で落ち込んで、泣きたきゃ影で泣けばいい。
「強がんなよ」
「強がってなんかないよ」



