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「結柚。大丈夫か?」
お風呂から上がった私の目は、醜く腫れていた。
結局、また泣いた。
泣くなんて癪に障るのに。
「………放っといて」
「放っとけねぇよ」
なんなの…?
叶多には関係ない……。
「泣かれてると迷惑?なら出ていこうか」
私が真顔で言うと、叶多は珍しく不機嫌な顔をした。
「何でそうなるんだよ。そんなわけねぇだろ」
「だって……っ」
迷惑だって思ってるじゃないの?
上辺では優しくしてくれてても、晴輝みたいに裏で何してるかわかんないじゃん。
「……とりあえずそこ座れよ」
叶多はソファを指差して言う。
「だから別に大丈夫だって」
「いいからいいから」
半ば強引に座らされる。
その叶多は、テレビの前で何かしてから、私の隣に座った。
「この映画マジ泣けるから」
映画……?
「何で映画?」
「まぁまぁ。黙って見てみろって」
そう話してるうちに、映画は再生される。
映画の気分じゃないのに。



