「ウ゛………ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛……………!!!」


美花の手の中で、人形はゆっくりと口を開いて叫んだ。


「うわ……!!!!!」


美花は思わず人形を手放した。床に落ちた人形はなおも彼女を見つめている。


「…………ミ゛………カ゛ァァ…」


「!!!」


美花の背後で、誰かが美花の名前を呼んだ。まるで断末魔のようなガラガラ声だ。


恐る恐る美花が振り向くと、襖がわずかに開いており、そこから何者かがこちらを睨んでいた。


「………誰だよ、おまえ…?」


真っ黒で、どこか悲しげな瞳だ。顔はほとんど見えなかったが、おそらくは美花達と同じくらいの年齢の少女だ。


「………」


その目はしばらく美花を見つめるとやがて闇の中にゆっくりと消えてしまった。