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いつもそうだ。


私は、こんな自分が大嫌いだった。


『いないな、私…』


誰とも交わることができなくて、


いつも写真の中の私はおいてけぼりで。


小さかった頃から、そして、中学と、変わろうと決めた私が高校に入学した日も。


嫌なことがある度に、


こんな私が嫌いになる度に、


【神崎メイ】を否定したくなる度に、


『ふふ、ふへへへへへ………』


私は、私を傷つけることで平穏を保った。


『嫌だ、あの子の手首…』


『うわぁ、リストカットの跡、私、初めて見た…』


中学の時は、女子トイレや校舎裏で人目を気にしながら傷をつけていた。私自身、自傷行為を少しだけ恥じていたからだ。


しかし、高校に入学してからは自分を押さえることがさらに下手になっていた。


授業中や、体育の着替えの時、例え人がいようとも、発作が起きる度に傷をつけた。


そんな私の自傷行為を、時々、止めようと試みる者がいた。


『何で、あなたの大切な体を大事にできないの…? あなた自身を傷つけても、何も解決しないのよ…』


私にも、分からなくはない。


高校で出会ったとある教師の言葉だ。


だけれど、


『いいえ、先生…』


それは私にとって迷惑でしかない。


だって、


痛いって思える時は、


他に何も考えられなくなったし、


それになによりも、


私はまだ生きてるって思えた。


『私にはまだ、血が流れてるんだ…』


それを確認するために、私は刃物を持ち歩いた。


それだけが生き甲斐だった。


『まだ私、生きていいんだ…』


そう思えば、少しは救われた気がした。