メイの頭にテレビのノイズのような映像が過る。それから意識が遠のいていき、気がつくと彼女は、どこか違う世界に落とされた。
「どこ、ここは……?」
そこは西洋風の美しい洋館の中だった。黄金の螺旋階段に、ガラスでできたシャンデリアがある。そして床には、銀色の食器が散らばっていた。
制服を着たメイには、その荘厳な空間にはあまりにも不釣り合いだった。
『何度でも、口にできる。嘘じゃないわ、私はあなたのこと………』
メイにとって聞き覚えのある声がした。
「えっ……」
メイの親友を死に追い詰めた悪魔の声である。
振り向くとそこには白いクロスと豪華な食事を乗せたテーブルがあった。
「喰イ喰イ…?」
黒いドレスを着た喰イ喰イは席を立ち、テーブルの反対側に歩いていく。
「あっ…」
そこには白いドレスを着た一人の女性が座っていた。
喰イ喰イはその女性の手を英国の紳士のように握ると、彼女の顎に空いた一方の手をそえ、顔を上げさせた。
『あなたのこと、大好きよ。メイ………』
「!!!!!」
白いドレスを着た女性の顔はメイそっくりだった。特徴的なメイの茶髪、そして美しく、端正な彼女の顔立ちからすべてがメイそのものだった。
「な、なんで…? 私は、現にここにいるのに…」
もう一人のメイは喰イ喰イの言葉に答えるように喰イ喰イの顔に手をそえた。
メイと喰イ喰イはそのまま愛し合うように接吻を交わす。それはまるで永遠の約束を誓った恋人達のようであった。
『ねえ、メイ………本当にあなたは、受け入れてくれるの? 私を、私の不幸を……? 例えそれが、どんな悲劇になろうとも………』
喰イ喰イはメイに唇をゆっくりと離してそう呟いた。
制服を着たメイは目を見開いたままその光景を見つめる。
「ダメ…」
メイはもう一人のメイにむかってポツリと言った。
しかし、
『もちろんよ、喰イ喰イ……』
もう一人のメイはにっこりと笑った。
『私もあなたのことが……』



