「僕、中学卒業したらすぐに働くよ。父さんがいない分、僕が頑張るから、だから………」
いつも通り小さな声だったが、祐希は祐人の声にたしかな思いを感じた。
いつだって守られる側であるはずの祐人。
祐希はずっとそう考えていた。
しかし、
「僕たちだけでも幸せになろうよ。これからは姉ちゃんのこと、僕が守るから…」
「祐人…」
その言葉に祐希は涙を流しながら膝をついた。
「バカ、生意気なこと言って……」
祐希はボロボロと涙を流した。
祐希が背負い込んでいた何かが一滴一滴、涙を流す度にすっと消えていくのを感じた。
「姉ちゃん? どうしたの?」
祐人は涙を流す祐希にむかって不安そうに言った。
「ううん、何でもない………でも…」
祐希は涙を拭いて電話越しの祐人にも見えるように満面の笑みを浮かべた。
「嬉しいよ、祐人、ありがとう」
それからまた少し二人で話すと、祐希は静かに電話を切った。
一連の祐希の姿を見ていたメイと詩依は彼女の側に行くと、
「うわっ!」
勢いよく祐希と肩を組んだ。
「よし! 帰ろう、みんな!!」
メイは力強く二人に呼び掛けた。
「うん!!」
祐希と詩依はメイの言葉に笑顔で頷いた。
学校へ乗り込んだ際に感じていた不安はもう彼女達にはなかった。



