中庭でメイと別れた祐希と詩依はすぐさまメイの指示通りに準備を整えた。
「うえっ、寒!」
一通りの準備を終えたあと、祐希と詩依は三階にある家庭科室で用意したバケツ一杯の水をかぶった。
水をかぶったブラウスはうっすらと下着が透け、髪は海草のように顔にくっついた。
「さて、部屋の温度もだいたいいいし、あとはメイにメールしてからね」
詩依は携帯を握りながら言った。
「あれから15分くらい経つけど。喰イ喰イも、人形達も私達のいる三階には出て来ないね…」
祐希は水で濡れた髪を整えながら言った。
「メイがしっかりあいつらをひきつけてるのね。メイは20分が限界って言ってたからそろそろ黄色信号だけど…」
詩依はメイへ送る準備完了メールを携帯でうちながら答えた。
「大丈夫かなメイ。たった一人で囮役なんて…」
祐希は心配そうに言った。
「危険な役割だけど………まぁ、メイのことだから多分無事よ…」
詩依はそう言ってメールをうちおえると、
「はああああぁぁぁぁぁぁぁ!」
携帯を放り投げて凄まじいため息をついた。
「ど、どうしたの? 詩依」
祐希は宙をまった携帯を手でキャッチしてから尋ねた。
「私、いいえ、私達、絶対に補導されるわね。こんなことしてきっとただじゃすまないわよ。残りの高校生活は冷たい鉄格子の中、一生犯罪者のレッテルを貼られるわ…!」
詩依は漫画で描くなら真っ白な状態でぶつぶつと駄々をこねた。
「詩依……」
祐希はそんな詩依を見て申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「本当に迷惑かけてごめん。もともと私がダメな人だったから始まっちゃったことだし。それに、えっと……」
祐希はふさぎこむ詩依にたどたどしい口調で言った。
詩依からすれば半分は冗談であったが、どうやら祐希は泣きそうになるくらい本気にしているようである。



