Miseria ~幸せな悲劇~


「………」


喰イ喰イはようやく身体の自由がきいたようで、ゆっくり動き出すと膝をついて息を切らせた。


「厄介ね。朱実。まさかあなたにまだ自我が残っていたなんて…」


喰イ喰イは立ち上がると指を噛んで血を滲ませた。


喰イ喰イの歯には彼女の噛み傷から流れた真っ赤な血がべっとりと付着した。


そこへ、


「フフ、ゴシュジンサマ、ゴシュジンサマ…」


校長室の入り口からたくさんのフランス人形が滝のように流れこんできた。人形は子供の声で喰イ喰イに微笑んだ。


「ええ、そうね、追いかけましょう。あの三人を……」


喰イ喰イはそう言うと闇の中に姿を消した。