凪瀬校の校長室は談話室も兼ねており比較的広い間取りになっていた。
部屋の奥には木製の大きな机が、その横には凪瀬校の旗が飾ってある。
机の後ろには窓があり、そして、部屋の入口には獣の剥製と市松人形が置かれていた。
「美花、私に何かを訴えかけてるみたいだった。美花の声はほとんど聞こえなかったけど、たしかに何か大切なことを…」
そう言いながら祐希は校長室の机を漁った。
「とにかく、なんの宛もなく探すよりは、美花の幻を信じてここを重点的に探した方が賢明かもね」
メイは部屋の入口に近い本棚を、詩依は右手奥の本棚を調べていた。
「ん? これって」
詩依の目にとまったのは1986年から2012年まで続く歴代の卒業アルバムだった。
87、88、89、90、91、93?
あれ? 92年卒のアルバムだけ抜けてるわね。
アルバムの順番が間違っているわけではない。92年のアルバムだけが人為的に抜かれているのだ。
人に貸し出している?
それとも盗まれたか単に紛失したのか? でも何かが引っかかるわね
本棚は卒業アルバムを収納しているスペースだけ鍵がかかっていた。
「ちょっとメイ、あんたピッキングできるのよね?」
詩依は別の本棚を漁るメイに呼び掛けた。
「………んと、ちょっと待って」
メイは別の本棚にある鍵を先程のヘアピンであけたところだった。
「ここに気になるところがあって」
メイが漁っていた本棚には辞書や気難しい古文が収納されていた。
その本棚もまた鍵がかけられており、さらにある一帯の辞書が不自然な高さで浮き出ていた。



