「あと、喰イ喰イは詩依の記憶を変えたこともあるし…人間の記憶を操作して、自由に書き換えることもできるのかも…」
祐希は二人にむかって言った。
「でも、よく考えたら私は結局思い出せた記憶もけっこうあるわ。特にあの火事のことはかなり鮮明にね。それより前の記憶はまだ曖昧な部分が多いけれど…」
詩依は息を整えながら立ち上がった。
「人間の記憶操作は完璧じゃないのかもね。喰イ喰イ……きっと神様と言ってもなんでもできるわけじゃないんだよ」
メイはそう言って職員室の資料が大量にまとめられている棚の前に立った。
「ほんと、何者なのよ、喰イ喰イって…?」
詩依は首を傾げた。
「さぁ、まだはっきりとしたことは分からないけど…」
棚にはテストや成績評価など、生徒に関するたくさんの情報がきれいにまとめられていた。
ちなみに昼間この棚にあるファイルを生徒が無断で閲覧するとその生徒はもれなく処罰の対象になる。
「…けど、とにかく今はあれこれと思案するより、魅郷先輩の資料を探しだすことを優先させよう。あいつの正体もそこに書いてあるかもしれないしね」
メイは職員室にある大きな戸棚をガサガサと漁り出した。
「私はこの辺りを探すから、二人は先生の机や引き出しを徹底的に漁って。この際、きれいにやる必要はないからさ…」
「う、うん、わかった」
祐希と詩依は分担して先生の机を探った。
「嫌いな教員の机は私がやるわ、日頃のお礼もかねてね…」
詩依は悪い顔をしていた。
あっ、さっそく鈴木先生のコップを…



