Miseria ~幸せな悲劇~


喰イ喰イはゆらゆらと揺れながらその細い指を警備員にむけてかざした。懐中電灯で照らされた彼女の顔はニヤリと笑っていた。


「………!!」


喰イ喰イとメイの距離はおよそ十数メートル。喰イ喰イの手は彼女達に届くはずはない。が、彼女は物を掴むように拳を握った。


「うぐぅぅぅうううう゛う゛う゛!!!」


その瞬間、警備員は何かが首に巻きついたように苦しみだした。手にしていた懐中電灯の光が空中に飛散する。警備員の首には青い痣が円形に浮かび上がる。懐中電灯は床に落ち、廊下を真っ直ぐ照らした。


「きゃあ!!!!」


祐希はその光景に思わず顔をそらした。70kgはあろう男が徐々に空中に吊し上げられていくのだ。


「うごごごごこ゛こ゛こ゛!!!」


警備員の体は完全に宙に浮いた。まるで見えない糸が真っ暗な天井から男を吊し上げるようだ。


足がジタバタともがきながら届くはずのない地面を探る。顔のシワが中央に寄り、目は虚ろに上を向き出した。


このままじゃ死ぬ…!


メイがそう思い男に駆け寄ったとき。