「えーと……」
メイの質問に祐希は困った顔で唸った。はっきりとではないが、なにか言いたげである。
「でも、本当にいたらすごいと思わない? なんでも不幸を食べてくれる神様なんて」
祐希は少し恥ずかしげに言った。
「まぁ、そうだけどさ…祐希、紙を飲み込むなんてきっと体に毒だから、やめなさいね」
メイは子供をあやすように祐希の頭を撫でた。
メイに嗜められた祐希は気恥ずかしさから顔を赤くした。
「もう! メイは幽霊とかおまじないとか全然信じないよね!」
祐希はそう言ってお菓子をつかんで頬張った。ちょっとした不満を解消するためにスイーツを漁るOLのようである。
「まぁね、それに今はこれといって悩んでることもないし」
メイは長い茶髪をいじりながら言った。メイからすれば、実現できないことを神様にお願いしてまで叶えることに意味を見いだせなかった。
そもそも、かなり裕福な家庭で不自由なく育ったメイには今のところ逃げ出したくなるほどの悩みや不幸を感じたこともなかった。



