学校の柵をよじ登って昇降口の門の前までたどり着いたメイ達であったが、


「だめ、閉まってるみたい…」


門には鍵がかかっており中に入ることができなかった。


「どうしよう…」


祐希は困った様子で辺りを見渡した。


「ちょっとその辺みてくるわね」


詩依はそう言うとウロウロと辺りを探索し始めた。


厳重な戸締まりの中、施錠されていない窓や扉を見つけることは困難だ。だが、ごく稀に掃除の後に閉め忘れた鍵が開いていることはあった。


「メイ、私達も探しに行こっか?」


祐希の問いにメイは生返事をすると、落ち着いた様子でじっと門の鍵穴を観察した。そして、おもむろにポケットから二本のヘアピンを取り出した。


「この鍵穴なら、いけるかも」


メイはヘアピンの形を器用な手つきで真っ直ぐな針の形に変型させた。


「何してるの?」


「まぁ、見てなって」


不思議そうにメイの手元を見つめる祐希を尻目に、メイは鍵穴に変形したヘアピンを突き刺した。


「まさか、ピッキング?」


「あたり」


ピッキングとは、鍵を使わずに、また、破壊することもなく解錠を行う技術だ。


メイは手元をくねくねとさせながら鍵穴をいじりだした。ガチャガチャと金属が触れあう音がする。


「やり方は大体知ってるからさ」


上ピンと下ピンをシアラインに揃えて。


あとは水平に固定したままヘアピンを回せば……


ガチャ!


メイがヘアピンを回すと同時に、ロックを解除する音が鍵穴から聞こえた。


解錠成功までおおよそ五分足らずだ。


「よしっ!!」


メイは軽くガッツポーズをして、鍵の開いた門に手を置いた。