Miseria ~幸せな悲劇~


「メイ!!」


祐希は部屋を出ようとするメイを呼び止めた。喰イ喰イに挑んで魅郷は死んだ。もし、彼女の資料を探そうとすれば、メイにも危険が及ぶかもしれないと考えたのだろう。


「……なるべく早い方がいいから。だけど、祐希はここにいて。まだ、何が起きるか分からないし」


最後に一回、メイは祐希に微笑みかけたあと、また、背中を向けて立ち去ろうとした。


そんなメイの背中に祐希は呼びかけた。


「待って! 私も……!」


いつもの祐希なら黙ってメイを見送っていただろう。


しかし、この時の彼女の目にはたしかな意思が宿っていた。


「私も行くよ…!」


残された唯一の家族を守るために、命を懸けて戦う覚悟。彼女の瞳からそんな強さをメイは感じ取った。