「私も喰イ喰イについて全然知らなくてね。それでこの前、先輩から初めて詳しく教えてもらったんだけど…」
祐希は袋からチョコレートを取り出した。
「なんでもね。紙に自分に起こった不幸を書いて、塩水と一緒に飲み込むと、その日の夢に喰イ喰イっていう神様が現れて、その不幸を食べてくれるんだって…」
おまじないを意識してか、祐希はチョコレートとお茶を一緒に飲み込んで見せた。
「不幸を食べるって? たとえばテストで悪い点数取ってもチャラにしてくれるってこと?」
メイは不審そうに言った。
「そうそう、そんな感じでどんな不幸でもなかったことにしてくれるの…なんだか不思議じゃない?」
祐希はいつになく真剣な表情だった。
それはまるでこっくりさんを実践する前に注意事項を説明する小学生のようにメイには思えておかしかった。
「へぇ、便利な神様ね」
そう言いつつもメイは小バカにするように鼻で笑った。



