「だったらあなたは、何のためにこんなことを…?」


祐希が喰イ喰イにそう問い詰めようとした時、


コツ……コツコツ…………と、ヒールで歩く音が部屋に響いた。


この部屋にはまだ誰かいるのだろうか。ヒールを履き、ドレスをまとった少女が。


「ユ…シ……ノ?」


祐希の後ろから小さな声が聞こえた。


少女の声を聞いて、喰イ喰イは突然、勢いよく立ち上がった。


「えっ、なに……!?」


彼女が立ち上がると同時に、周囲にいたフランス人形や執事が一斉に倒れこんだ。いやむしろ、自分から倒れたというよりは、吊るされていた糸が切れて崩れ落ちたという方が近い。


まるで糸が切れた操り人形のようだ。執事達は目を開けたままピクリとも動かなくなった。


倒れた人形達をよく見ると、細い透明な糸が身体中に絡まっていた。


マリオネットや操り人形のように、この糸で彼らは喰イ喰イに操られていたのだろうか?


祐希はそんなことを思いながら呆然と席に座っていた。