次は親指、そして人差し指を根本から切断する。
小指は指先から徐々にえぐりとり、そして皮で覆い被されていた中手骨を抜き取って、身をスプーンですくいとる。
そしてまた、肉と骨を口に運び、口の中で転がしながら飲み込んでいく。
ついには、手首にある男性の太い骨を、少しずつ、少しずつ、ナイフをいれて切断していく。指よりも太い血管と神経が通う器官だ。
動脈を切り裂かれる。ドクドクと血が溢れてきた。血はテーブルクロスから滴り落ち、床には小さな血溜まりができあがった。
「あ゛あ゛、あ゛…………」
やがて晋吾は叫び声すら上げなくなってしまった。完全に意識を失ってしまったのだろうか。ただ、目隠しの下からは彼の涙が滴り落ちる。それでも、拷問のような時間は続いた。
喰イ喰イは手を休めることなく晋吾の手を食べ続ける。肉も、骨も、皮も、血も、晋吾の手の全て。
「………」
祐希達家族を暴力によって苦しめ続けた、その汚れた右手を食していくのだった。