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そこは中世ヨーロッパの貴族を扱った映画に出てくるようなダイニングルームだった。テーブルには国王を迎えた晩餐会のように豪華な料理が並んでいる。


テーブルの端には喰イ喰イが行儀よく座っていた。老成した白髭の執事は彼女の横からグラスにワインを注ぐ。


「………」


執事がワインを注ぎ終えると、喰イ喰イは艶やかな唇でグラスに触れた。


人間の血のように真っ赤なワインだ。それを飲む彼女の姿は生き血をすすう吸血鬼のようだった。


「う゛っ゛………う゛う゛……」


そんな喰イ喰イの横で、水島晋吾が床に座らされていた。


晋吾は目隠しをしたうえに、赤い布を口に押し込まれていた。わずかに呼吸はしていたが、呆然としており、ほとんど意識がないようだ。