「ふふっ…ふふふっ………」 晋吾は台所で20cm近い出刃包丁を手にした。そして、まじまじと包丁を見つめると舌で刃の感触を確かめた。 舌の先から血が滴り落ちる。 血と鉄が混じったような苦い味がした。 「祐希、祐人、また家族四人で幸せに暮らそう…なぁ? 有香もそれがいいだろ……?」 晋吾はゆらゆらと揺れながら祐希のいる二階へむかう。 彼は家族を巻き込んで死ぬつもりだった。どうしようもない現実から逃げるために。そして、亡き妻と再会するために。 それが祐希達家族を幸せに導けると信じていた。