屋上の風が強くなってきた。メイと詩依の髪がふんわりとなびく。
「大丈夫。詩依も、祐希も……私達は、一人じゃない」
メイは屋上の柵に手をかけながら言った。その目はぼんやりと町の景色を見下ろしていた。
「私達ならきっと、どんな困難にだって打ち勝てる。一人じゃ乗り越えられない壁も、友達と一緒なら乗り越えられる」
メイは振り返って詩依の顔を見た。真っ直ぐとした美しい目だ。
「だってそうでしょ…? 喰イ喰イなんかより、私達の絆の方がずっと強いはずだから……」
メイは詩依に歩み寄って手を差しのべた。
「だから詩依の不幸も、美花の不幸も、みんなで分かち合えば、全然、痛くなんてなかったよ……」
「メイ………」
メイの手のひらを詩依はじっと見つめた。
友達を信じること。
そして、絆を信じること。
詩依はメイの言葉からそんな力強い思いを感じた。たしかに、それが喰イ喰イの不幸を乗り越える唯一の力だと思った。



