「そんな言い方……! 美花はただ風花のことを思ってしただけなのに……」


メイは声を荒らげた。


「その代償として、あいつが残していくものはあまりにも残酷なのよ……」


詩依は腹部の傷を服の上から触った。


「自分の運命を逃れただけ、他人の運命を背負う。これがどれほど辛いことか……」


詩依は悲しそうな表情を浮かべながら言った。


「………………」


メイはそんな詩依を静かな目で見つめた。


喰イ喰イを呼び出した彼女にしか分からない痛みがあるのだろう。その痛みに思いを巡らせるだけで、メイは胸が苦しかった。


美花もまた、そんな思いを抱えていたのだろうか。


「私だって、後悔ばかりよ」


そう言って詩依は瞼に涙を滲ませた。