その日の放課後、メイと祐希は生徒がいなくなった教室で話し込んでいた。


話題は昼頃に返された中間テストである。


「うわっ、メイ、また全教科1位だったの?」


祐希はメイの成績表を覗き込みながら言った。


テストの度に結果が集計され学年全員の順位付けが行われるが、メイの成績欄には見事に1位の文字が羅列されていた。


メイは文系理系を問わずあらゆる教科でトップの成績である。それも去年の冬から四連続だ。


「まぁ、一応真面目に勉強したからね」


メイは謙遜し微笑むと、早々に成績表を鞄にしまった。メイにとってはどんなに良い成績であっても、学校の期末テスト程度では自慢するほどのことでもなかった。


「はぁ、いいな。メイは頭がよくて。それにテスト期間中もバスケ部とラクロス部と……あと囲碁部の助っ人で大会に出たりしてたんでしょ? ほんと要領良すぎだよ」


メイはいわゆる天才肌で基本的に何でも人並み以上にこなす才能があった。


そのため何かあると部やクラブから助っ人として召集された。メイはその都度、部員顔負けの活躍を見せる。


祐希も決して落ちこぼれに部類されるような成績ではなかったが、メイの持つ完璧にあらゆる物事をこなす天才的な能力にはやや嫉妬していた。


「別に要領っていうかさ。部の連中がどうしてもっていうから仕方なく出てやっただけだよ。ただ、一度引き受けたからには手を抜きたくないだけ。勉強もね。それを言い訳にして手を抜きたくないの」


祐希はそんなメイの言葉にへぇ、すごいね。といった適当な態度で返事をすると、唐突にメイの茶髪をみつあみに結びだした。


「こら、祐希!」


メイは髪をみつあみにする祐希の手を掴んで阻止した。


「えっ、絶対可愛いと思ったのに、茶髪にみつあみ!」


「いやダメ、きつい」


「えっー!」


祐希は不満そうに首を傾げた。