そして魅郷の死から一ヶ月。
「きゃああああ……!!」
高橋生摩の遺体がホテルの一室で発見された。
生摩はホテルのシャワールームで湯船一杯に水をため、その中に切り落とした手首を突っ込んでいた。
湯船は血と混じり合い真っ赤に染まっていた。彼の死は生徒の死を受けて精神を病んだことによる悲劇的な選択と見なされた。
しかし、喰イ喰イを知る凪瀬高校の教員達はこの死を自殺とは思えなかった。
「先生方、聞いてください。私の見解では……」
その後、校長の裁量によって、魅郷の死、生摩の死は生徒達に伝えられることはなかった。
「これ以上、喰イ喰イと関わること自体が危険です。私達教師にも、そして生徒達にも……」
誰もが魅郷の二の舞になることを恐れた。喰イ喰イの邪魔をすれば、死をもって制裁を受ける。魅郷と生摩の死は教員の間でも禁句とされた。
この時、恵は教職に就いて一年だった。喰イ喰イの恐ろしさを知る彼女は特にこの決定に異議はなかった。



