「勝算はあるんだな……? 曲がりなりにも、喰イ喰イは神の力を持った化け物だぞ」


心配そうに生摩は言った。魅郷はにっこりと笑った。そして自分の鞄の中を漁り、何かを取り出した。


「勝算なんてわかりません。ただはっきり言えることは、明日、私とあいつのどちらかが死ぬこと……それだけです」


魅郷が取り出したのは穴の空いた古いセーラー服だった。それは凪瀬高校の十年ほど前の制服だ。穴の回りには凝固した血が赤黒くこびりついている。


「それは、まさか……?」


教師はそのセーラー服を見て息をのんだ。


ある少女の遺品を手に入れたと。魅郷は以前言っていた。


その少女が何者であるのかまだはっきりとは聞いていなかったが、生摩はある可能性を魅郷の言葉から感じていた。