「約束。か………」
美花もまたゆっくりと凪瀬校へむかって歩き出した。ここからは一人だけの通学路だ。
「ごめんな風花。きっと私はもう、サッカーはできないよ……」
風花は怪我の回復を信じていたが、実のところ、美花の怪我は美花自身が一番よく分かっていた。
もう二度と自分はサッカーができない。もしできたとしても、負傷した自分の足では、風花と一緒に日本一の女子サッカー選手を目指すことはできない。美花はそう直感していた。
「だけどな……」
辛い現実を前にしても、美花は決して挫けていなかった。むしろ、彼女の目は、しっかりと未来をむいていた。
「私は、日本一の夢は諦めないから。だってスポーツってさ。選手だけが全てじゃないだろ……?」
美花はおもむろに空を仰いだ。一羽の燕か青い空の上を高く飛んでいく。
「マネージャーでもいい。サポーターでもいい。私は日本一の選手の……日本一の姉になる。
……そういう夢の叶え方も、悪くないはずだ」
風が美花の髪をゆっくりとたくしあげた。美花の髪は太陽を反射して、美しく光を散らせながら輝く。
これが美花の出した答えだった。彼女は新しい夢を見つけた。大好きな妹と叶える大切な夢を。



