「でもさ、美花に何て声をかけてあげればいいんだろうね、私達……」


祐希が少し心配そうに言った。祐希の言葉に、メイと詩依は口を閉じて顔をしかめた。


「…………」


美花は生き甲斐であったサッカーを奪われてしまった。嬉しいはずの再会を前に、そのことが彼女達の頭を過った。


これから美花が教室に足を引きずりながら現れるだろう。喰イ喰イのおまじないの代償に美花が背負った不幸を抱えて。


その時の彼女の表情は……?


恥ずかしげに微笑むのだろうか?


心配かけたな。と笑うのだろうか?


それとも絶望にうちひしがれて、消え入りそうな顔をするのだろうか? 祐希達にはとても想像ができなかった。


ただはっきりと分かっていることは、病室で親友に向かって叫んだ美花は、あの後、様々な葛藤を乗り越えて、この教室に帰ってくる決心をしたことだ。


そんな美花に親友として、どんな言葉をかければ正解なのだろうか?



「……それは」


詩依は眉をひそめて言葉を詰まらせた。彼女の中ではまだ、その答えは煮えきらない様子だった。しかし、メイはそんな二人に先立って答えた。


「そんなの決まってるじゃん…」


メイの中で答えはずっと前から決まっていた。