「…………」
それから祐希は、自分の部屋で額を布でおさえたまま、ぼんやりと机の上を眺めていた。幸い血は止まったが、祐希の心には大きなわだかまりが残っていた。
「私、どうすればいいんだろう……」
机の上には先の家族写真が置いてあった。家族がまだ、本当の意味で『家族』だった時の写真だ。
「……お母さん」
祐希は写真に入ったヒビを指でなぞってみた。母親が泣いている……祐希には動かないはずの写真の母がそんな風に見えた。
「こんな時、美花ならどうするのかな……?」
祐希には守らなければならないものがあった。それは弟、祐人と、家族としての幸せだ。祐希にとって何よりも大切なものを、晋吾はこのまま、壊していくのだろうか?
そんな祐希の脳裏に喰イ喰イの存在が過った。美花と詩依の運命を変え、狂わせた少女。もし彼女に頼れば、今の悩みも全て、覆してくれるのだろうか?



