Miseria ~幸せな悲劇~


「お父さん……」


倒れるこむ祐希の横に、ふと見慣れない女性用のバッグが目に入った。


「なに、これ……?」


バッグの中にはたくさんの時計や現金が詰まっていた。とても家にあるものとは思えなかった。


「お前には関係ねえよ……」


晋吾はふらついた足取りで祐希からバッグを取り上げた。


「もしかして、盗んできたの……?」


祐希は震えた声で晋吾に尋ねた。


「……」


晋吾は何も答えずに立ち去ろうとした。祐希はそんな晋吾の腕を掴んだ。


「ダメだよ、そんな……もうすぐお母さんの命日なのに……何してんのさ……」


祐希は涙ながらに晋吾に訴えた。


「うるさい……」


晋吾は祐希の腕を払い突き刺すような視線を浴びせた。