それからメイ達は恵と喰イ喰イについて話した。遡ること、恵がまだ、凪瀬高校の生徒だった時の話である。
「ええ、私達の時代にもいたわ、喰イ喰イ。私も昔、友達と呼び出したことがあるしね……」
恵は机の上のお菓子を弄りながら言った。
「えっ! それで先生は大丈夫だったんですか?」
祐希が驚いた様子で言った。
「ええ。喰イ喰イは呼べば誰にでも来る訳じゃないの。私の所には来なかった。あいつは気に入った人のもとにしか現れないのよ……」
恵はチョコを一つ口の中に入れた。それから手についたチョコのパウダーをぺろりと舐めた。
「私の友達のもとには来たみたいでね。その子は彼氏をゲットしたって喜んでたけど、すぐに不登校になったわ……私がからくりに気がついたのは、それからだいぶ経ってからだった」
恵は顔をしかめた。その顔から彼女の友達がその後どうなったのかは想像がついた。
「知ってたんですね。喰イ喰イのこと。それも私達よりも詳しく……」
メイは静かな口調で言った。
「……ごめんね。私は教師として、もっとできることがあったはずなのに。結局私は、美花を見捨ててしまった……」
恵は悔しそうに唇を噛んだ。彼女にも、喰イ喰イについて生徒に多くを話せない理由があるのかもしれない。メイは彼女の表情からそんなジレンマを感じた。
「……だけど、メイ、祐希、詩依。その上で私からお願いしたいことがあるの…」
恵は三人の顔を見ながら口を開いた。



