同刻、凪瀬校の屋上では、メイと詩依が重苦しい雰囲気で向かい合っていた。


「…………で?」


メイは授業の合間に詩依を屋上に呼び出したのだった。昨日の火事について、詩依から事情を聞くためだ。


「……話って何よ?」


詩依が沈黙を破り切り出した。いつも通り、赤ぶちメガネでひねくれた顔をしていたが、額には汗がにじんでいた。


「……詩依、さっきはなんで祐希に嘘をついたの? 大野先輩の家が火事になった時、詩依もあの場所にいたはずだよね……?」


メイが言った。


「そんなこと、どうでもいいでしょ? 忘れてただけよ……」


詩依はめんどくさそうに答えた。詩依はもともと天才的な嘘つきの才能がある。


しかし、メイは、そんな彼女の僅かな動揺を察知した。一瞬たりとも目を合わせようとしない。


何かを隠している?


「ねぇ、詩依は火事のこと、何か知っているの?」


メイは腕を組んで、若干高圧的な態度をとった。警察が被疑者を尋問するような感覚だ。


「……は? 意味わかんないわ」


詩依は強い口調で言った。言葉とは裏腹に、詩依は明らかに動揺を見せた。火事という言葉に反応しているようだ。