意識しないようにと思えば思うほど、課代の気配を追ってしまう…

「おまえも入ってくる?それまで待ってるよ」

なにを?

そんな湯上りの蒸気を纏って、何を待つんですか?
待たれても困ります。

それは言った方がいいのか、そこは刺激しない方がいいのか…

「……じゃあ入ってきます」
ってお風呂に逃げようとした。

でも振り返ってみたら、課代はTシャツにパンツ姿で立ってて……

「何してるんですか?!」

しっかり見てしまったじゃないですか!

背を向けたけど、もうすでに眼に焼き付いてしまっている。

髪を拭くガッシリした腕とか、スーツ着てるときには分からなかった厚い胸板とか…
やけに男を意識させられる。

「なんっ、で…そんな…格好…」

焦る私に、課代は堂々と

「は?これしか着るものないし…」

全く私のことを意識していない風な答え。

一人でアタフタしている感じが悔しいけど、そうだった。着替えを忘れてた。

寝室まで走って行って、引き出しからジャージと短パンも取り出した。

それを無理やり課代に押し付ける。

「ちっちぇーよ。男もんないの?」

「ありません。あるわけないでしょう?
どっちか履いててください」

そう言ってお風呂に向かった。

初心な小娘でもないのに過剰に反応しすぎたと、
お風呂の中で反省した。