「へ~」

部屋を見渡しての課代の感想だ。

何が『へ~』なんだろう。
思った以上に部屋が片付いてたとか?
だとしたらどう思われてたんだろ。

「あんまり見ないでください」

振り返った課代は悪戯そうな笑顔を浮かべている。
そんな課代を正面から見られない。

「先に風呂に入ってくる」

なんだか夫婦みたいな会話に、変に固まってしまいそうになる。

「こっちです」

案内しながら振り向くと、課代はすでにネクタイを外し、ワイシャツのボタンに手がかかっている。
慌てて視線をバスルームに戻した。

「3軒ハシゴしたら、疲れた~」
「え?何をハシゴしたんですか?」
「コンビニ」
「え?なんでコンビニをハシゴするんですか?」
「一か所でパンツも髭剃りも歯ブラシもって買えるかよ」
「……」

課代がそんなこと気にする人だったなんて…
意外と可愛いかも…

「なに、笑ってんだよ」

思いっきり睨まれてるけど、しばらく笑いは止まりそうにない。