メトロの中は、近過ぎです!

「おまえは俺の婚約者なんだから堂々としてればいいだろ?」
「婚約者じゃないし」

ぐいぐいと手を引かれて、階段を降り切ると、

「じゃーなんだよ。幼なじみか?」

拗ねたように手を離された。
愛しい二重の目が見つめてくるから、頬が熱くなる。

「…恋人。まずはそこからで……」

言い終わらないうちに、唇を塞がれた。

何度も角度を変えながら奪われるような強引なキスに、もう思考回路も停止して、

「はぁ…あっ…」

自分のものとは思えない甘い嬌声が漏れ

「真帆……」

名前さえ耳元で囁かれるとゾクゾクしてしまう。

グッとスーツを握ると、その手は取られて握り返され、更にキスが深いものになる。

「はぁ、はぁ……」

ようやく解放される頃になると、もう足に力が入らなくなっていた。