メトロの中は、近過ぎです!

ショールームへ入って行くと、非日常的なお洒落な内装に胸が震えた。
近未来の住居って感じの室内は明るくて、開放的で、居心地がいい。

まだ商品は並べられていない。
けど、至るところに数字とアルファベットが書いてある。
商品コードだ。

ここはカーテンコーナーになるんだ。
そしてこっちがロールスクリーン。

商品が並べられたところを想像しながら、ショールームを一周した。

すごい……

シンプルな作りだけど、天井の高さも照明も考えてデザインされているみたいで、無駄に飾りがない分、商品の魅力が勝負なのかもしれない。

……なんだかシンさんが好みそうなデザインだと思った。

表通りに面した玄関の左には受付デスクまで設置されている。
その上には、まだ商品が並べられていないショールームに、不釣り合いな赤い塊が乗っている。
吸い寄せられるように近づくと赤いバラの花束だった。

『退院おめでとう  S 』

メッセージカードには細くて右上がりの文字が並んでいる。

「シンさん…」

間違いない。これはシンさんの文字。
胸が熱くなる。

真紅のバラの花束なんて……シンさんらしい。

そう言ったらまた怒られるだろうか。

でも、ありがとう、シンさん…

シンさんの薄く微笑んだ顔が目に浮かぶ。
もうニューヨークへは行ったのだろうか?

あの見た目で、こんなプレゼントをできるなんて…彼は本物の王子様なのかもしれない。