「それなら佐々木は人を褒めるのの天才だな」
「え?私ですか?」

唐突にそんなこと言われて驚いた。

「あー。分かります。真帆さん、そんなとこありますね」

って戸田君まで言い出すから、

「戸田君は相槌打つのの天才だね」

って言ってやった。
中川兄さんどころか森田さんまで笑っている。

「えー。俺ももっとかっこいい天才がいいっす」

4人でまた笑っていた。


「どうした?楽しそうだな」

後ろから急に声がしてビクッとなったけど、この声は待っていた声。
振り向くと、大野さんがそこにいた。

「おかえりなさい」
「どうでした?本社は…」
「あれ?南さんは?」

今まで笑っていた私たちからは、軽々と言葉が出てくる。

「南さんはもう少し本社です。直接鶴見に行くってことでした。こっちはどうですか?」
「とっくに準備はできてるぞ。おまえ達を待ってたところだ」

森田さんが答える。

「わかりました。では行きますか」

その言葉を合図に、みんなが一斉に立ち上がった。

「では打ち合わせ通りに…戸田。一人で行けるか?」
「はい!大丈夫です!」
「じゃ、出発しましょう!」

大野さんの言葉でみんなが動き出す。

最近、貫禄まで出てきた私の彼氏に、かっこいいなと一人ニヤつきながらバッグを肩に下げた。