「って言うか、それがキッカケで話した。子供出来たからって…」

大野さんのお母さんがすっごく謝ってた理由がこれで分かった。
ケガをさせたとかじゃなく、妊娠させたと思い込んでるんだ。

とんでもないことになった。

「今頃、式の日取りとか決めてんだろーなー」
「式?なんの?」
「俺とおまえの結婚式」

いやいや、能天気に言う事じゃないでしょう。

「否定しなきゃ」

下に行こうと立ち上がりかけると、

「まぁ。まだいいだろ?」

大野さんの腕が止める。

「でも、そんな誤解…大野さんの子でもないのに…」
「俺の子だよ。おまえの子供なら俺の子供」

しっかりと暖かい手が私の手を包んでいる。

「だってそういうことしたことないのに…」

嬉しさと恥ずかしさで声が小さくなる。

「これからいっぱいすればいいだろ?」

妖艶に笑う大野さんから顔を逸らしたのは、ドキドキして直視できないから。
なのに大野さんはそんな私を覗きこんで、

「じゃ、今からでも…」

からかうように腕を引くから、その拍子に大野さんの腕の中に倒れてしまった。