「いんだろ?子供。どうせ一人で育てようとか考えてんだろ?それ無理だから。うちの母親見てたから分かるけど、一人でなんて本当大変だから」

私の手をギュッと握ってきた大野さん。

「だから、おまえの子供も俺がみる」
「…なんで?」
「だから、おまえが俺を支えろよ」
「わ、たし…え?」
「そんなに守ってたら俺が大変だろ?」
「……うん」
「だからお前が側で俺を支えるんだろ」

すごいこと言われてるんだろうけど、頭がついていかない。

「でも…子供いないよ」

やっと言えたのがそんな返事。

「はぁ?だって、具合悪そうだったし、末岡さんがそう言ったし……え?マジで?」

大野さんが明らかに動揺している。

「うん。たぶん」
「たぶんなんだろ?いるかもしれねーんだろ?」
「いや。それはない。だって今日から始まったから…」
「はぁ?」

大野さんは眉間にしわを寄せて私を見ている。

「いた方が良かったの?」
「いや。そうじゃないけど……やばっ。もう言っちゃったよ」
「何を?」

今度は私がギュッと手を握って引き寄せた。

「俺の子がいるって…」
「えー?!」