顔を上げられなかった。

「マホ。立って。こっち来て。見せたいものがあるから」
「…シンさん…ごめんなさい」

やっと出た言葉はか細くて、震えていて、こんなんじゃとても気持ちは届かない。

「そんなことはどうでもいいから来て」
「でも、私…」

言葉が続かない。
喉が痛いのはバーボンのせいばかりではない。

「いいから来いって!」

またしても強く腕を引かれ立たされた。

そのままシンさんがリビングの端にある真っ直ぐな階段に向かう。

「二階に見せたいものがあるから」

どうやら二階に連れて行くらしい。
逃げる気なんてないのに、腕を引くシンさんの力が強くて足がもつれそうになる。

それだけ怒らせてしまったんだ。

何を言っても許してもらえない気がする。
何をしたら許してもらえる?
そもそも許してもらおうなんて思っちゃいけないのかもしれない。


自業自得だ。