メトロの中は、近過ぎです!

「おまえがあの人と付き合ってるなんて、本人から聞いてもまだ信じられねーよ」

みんなそうだと思う。
私が一番信じられないのだから…

「俺、末岡さんに言われたんだよ。おまえをよろしく頼むって…」
「え?」

シンさん……

「大事すぎて手が出せないって、そこまで言われた」
「………」

あの素敵なシンさんがそんなことを思ってくれてたなんて…胸が痛い。

でも本当なら凄く嬉しい言葉なのに、それを大野さんから聞くってことが、なんだか複雑な気分にさせる。

大野さんはちらりと私を見た後、また前を向いてハンドルを握っている。

「大事にしろよ」

最後に大野さんは静かにそう言った。

そうだよね。
私はシンさんの彼女なんだら、シンさんのことを一番に考えなきゃいけない。


それからは二人とも無言で伊豆に入った。